「やましいことがなくたって、私以外のオンナと二人でご飯とかありえない!」
「男は浮気するいきものだから、本気にならなきゃ何してもいいわ…」
“どこから不倫(浮気)と思うか”はそれぞれの価値観によって大きく異なります。
同一人物でも年齢や経験によって考え方が変化するほどです。
今回はあいまいでわかりにくい「不倫の境界線」について、男女の不倫に対するイメージや法律的側面から紐解いていきたいと思います。
Contents
どこまで旦那を許せる?男女で違う浮気の基準
あなたは、何をしたら不倫(浮気)だと思いますか?
- パートナー以外の人とデートをしたら?
- キスをしたら?
- それとも体の関係を持ったら?
同性でも意見は割れますが、特に男女間での違いは明白です。
男性と女性が実際にイメージする浮気の線引き
ウレぴあ総研で『「浮気」の境界線はどこから?』というアンケートがありました。
男性は『SEXをしたら』という人が30%を超えています。
一方で、知人友人の域を超えていそうな『手をつないだら(9%)』『「好き」という感情が芽生えたら(13%)』は重視していないことがわかります。
男性が浮気だと判断するキーワードは”肉体関係”。
キスや二人きりで出かけることに抵抗を感じるのも、セックスへと発展しやすいと考えるからといえます。
つまり、パートナー以外の人と体の関係を持つことが、すなわち浮気だと考えるのです。
一方、女性は30%近い人が『「好き」という感情が芽生えたら』と答えています。
人によっては、「一夜の過ちくらいなら問題ない」と言うほど肉体的結びつきを重視していません。
心と心、精神面での関係値こそが異性との親密さを測るものと考えるのが女性です。
浮気とは、「気持ち」が「浮ついた」と書きますが、女性にとってはまさに愛情や恋心が他の異性に移ることこそ浮気だと考えるのです。
価値観の違いで生じる問題、別れの危機
男性は肉体面で、女性は精神面での浮気を許さない傾向にあることがわかりました。
実は、この価値観の違いこそがカップル間のトラブルの火種となることもしばしば…
男性が恋人を裏切っているつもりがなくても、女性側は裏切られたと感じることがあります。
もちろん、男女逆もありえます。
まずはパートナーとの価値観のギャップを埋めることをおすすめします。
- 日常会話の中で嫌なこと、嬉しいことなどを共有する
- 相手のタイプ(人間性)をよく観察する
- 話し合いの場では嘘をつかない(自分を偽らない)
大人同士ですから、ディスカッション(話し合い)を通して相手の思っていることを知るのが一番の近道です。
しかし、唐突に話を切り出せば、あらぬ疑いをかけられるかもしれません。
そのため、日常会話の1トピックスとして話題に出してみましょう。
また、話すだけではなく、相手のタイプ(人間性)を観察することで見えてくるものがあります。
「女友達が多いタイプの男性」
昔から女友達が多ければ、気軽に集まる飲み会や遊びの予定に女性がいることが当たり前。
中には心を許してなんでも相談できる親友が異性という人もいるかもしれません。
そんな彼からすれば、恋愛感情が生まれないと言い切れる異性と何をしても浮気だとは思わないはず。
さらには、妻が男性と食事に行っても気に留めることはないでしょう。
女友達の影響で女性心理への理解があるので一度の過ちくらいは許してくれるかもしれませんね。
「赤ちゃんがいれば手を振っちゃう!(子ども好き)」
一見浮気に関係なさそうな些細な発見でも構いません。
彼の小さな情報を積み上げれば、人物像が見えてきます。
他人の赤ちゃんに手をふるほど子ども好きであれば、自分の子どもを悲しませたくないと考えます。
子どものお手本となるように、一途に愛し合って円満な家庭を築き上げたいと思うのです。
子どものためにも不倫や離婚でギクシャクしないようにと考えます。
必然的に異性と節度ある関係を心がけるので、相手にも同様に求めるのです。
また、連れ添って長いからと言って思い込みで決めつけてはいけません。
長いからこそ、お互いのことをちゃんと見ていない夫婦は多くいます。
初心に返って互いを知る、話し合いの場を設けましょう。
夫婦といえど、対峙するからには嘘偽りのないように心がけます。
嘘をつけば嘘が返ってくると思ってくださいね!
法律的には不倫のボーダーラインはどこからなのか
浮気の境界線は性別や個人によってバラバラだということがわかりました。
それでは、決定的な境界線、”裁判になったら慰謝料を支払わなければいけない浮気”はどこからなのでしょうか。
不貞行為は肉体関係の有無で判断する
不倫や浮気のことを法律で『不貞行為』と呼びます。
一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。
不貞行為とはズバリ”肉体関係がある”ことをさします。
不貞行為があったかが法廷で重要な要素となります。
二人きりでデートを楽しんでも、手をつないでキスをしても法的には不貞行為とはみなされないのです。
弁護士が慰謝料請求を主張する条件とは
法廷で争う際、弁護士は慰謝料を勝ちとるために不貞行為や夫婦関係について主張します。
実際に慰謝料を請求できるための3つの条件をご紹介します。
【条件1】パートナーとの関係性は法律で定義できるものか
「彼氏が他の女と寝てるところに遭遇して写真撮ったから、これを証拠に訴える!」
そう話すA子さんは訴えたところで慰謝料を取ることができません。
なぜなら、A子さんは彼と結婚をしていなかったから。
不貞行為が認められて慰謝料を取るためには、パートナーと以下の関係でなくてはいけません。
- 婚姻関係(法的な夫婦)
- 内縁関係(婚姻届は出していないが、社会的には夫婦としての実質をもつ夫婦)
- 婚約関係(婚姻届はまだ出していないが、結婚の約束をしている男女)
恋人同士は法的には無関係なので、浮気では慰謝料を取ることができないのです。
【条件2】不倫がバレる前後の夫婦関係は客観的にどうだったか
不倫する理由が、単純に浮気症だからという人もいます。
しかし、大抵の場合はパートナーへ不満があったり、関係が冷え切っていたりと夫婦関係が良好ではないことが考えられます。
不倫について法廷で争うとき、夫婦関係の状態が結果を左右するのです。
- 不倫を始めた頃、客観的にみて夫婦関係は破たんしていたか
- 不倫が発覚してから、客観的にみて夫婦関係が修復不可能か
不倫を始めたときすでに夫婦関係が破たんしていたと第三者が認識できる状況では、不貞行為を証明しても慰謝料が取れない場合があります。
『別居を証明する』:夫婦関係の破たんを証明する最も効果的な証拠です。
『同居している』/『家族旅行に行った』:たとえ毎日言い争いをしていても破たんしていない証拠と言えます。
一方的な家出や仮面夫婦は客観的に見れば夫婦らしく過ごしていると判断されてしまうので要注意。
夫婦がもうやり直せる可能性がないと互いに同意し、客観的にも同意できる状況でないと裁判所は夫婦関係の破たんとは認めてくれません。
【条件3】不倫相手に慰謝料を請求する場合は、”不倫だと認識していたか”がカギ
不倫の慰謝料はパートナーだけでなく、不倫相手にも請求することができます。
しかし、不倫相手を訴えても慰謝料が取れない場合があるのです。
それは不倫相手が騙されていた場合。
あなたの旦那さんは「俺は独身だよ」と偽って不倫を楽しんでいたのです。
この場合、不倫相手は”自分が不倫をしている”とは思っていません。
既婚者であると知るすべがなければ、慰謝料を支払わなくていいとされているのです。
写真や動画、メールやLINEなど、不貞行為の証拠集めはマスト!
不倫疑惑は証拠がなければ、やっていないと言い逃れることができます。
そのため、不倫の証拠集めは最も重要。
具体的には、不貞行為(パートナー以外との肉体関係)を証明します。
証明のためには、”性行為の存在を確認または推認できる証拠”の提示が求められます。
【証拠1】不倫相手とラブホテルに出入りしている写真や動画
不倫当事者の顔や動きを確認できる写真や動画は有力な証拠。
中でもラブホテルは性行為を前提とした滞在という認識ができるため、効力があると判断されます。
また、写真を撮る際は修正可能なデジタルカメラよりは、修正ができないフィルムカメラなどの方が好ましいとされています。
- 1度きりではなく、複数回の証拠を押さえる
- 写真には日時を入れて撮影する
【証拠2】不倫関係を証明するメールやLINE
スマホやパソコンに残されたメールやLINE、SNSのやり取りで浮気が発覚することは多々あります。
中には直接的に性行為を裏付けるやり取りをしてしまっている場合もあるんです。
見つけたメールやLINEを写真にに撮って証拠にしておきましょう。
ただし、メール・LINEは簡単に偽造できます。
そのため、法廷では証拠能力が低く、あくまで状況証拠として判断されてしまうことも…
しかし、法廷ではなく夫婦間で問い詰めるときには有力な証拠といえるでしょう。
法律の知識を持っていなければ「証拠をおさえられた!」と慌てて不貞行為を認めてくれるかもしれませんね。
【証拠3】不貞行為を認める発言の録音
不倫の疑惑が確証に変われば、パートナーと話し合うことになります。
そのときに忘れてはいけないのは夫婦間の会話を録音しておくこと。
会話の中で不貞行為があったと認める発言があれば、決定的な証拠を録音できるのです。
この際、録音はアナログ方式のテープに録音しましょう。
編集・修正が可能なデジタル証拠は、効力が落ちるので『証拠はアナログ』という意識を持つことが大切です。
意外とやりがち…証拠集めの落とし穴「盗聴録音は証拠にならない!」
不倫の証拠集めの経験者はなかなかいません。
誰しも初心者なのでミスを犯しがち。
先程録音についてお話しましたが、相手の承諾がない録音は証拠となりません。
「録音するね、なんて言えないから夫にばれないように机の下で録音しよう!」と思ってしまいますよね。
しかし、盗聴録音は人格権を侵害している違法行為と判断されます。
違法に入手した証拠は裁判所で取り扱ってくれません。
せっかく努力しても証拠にならないなんて悲しすぎますよね。
そうならないためにも同意をとって録音をするようにしましょう。
また、車の助手席に落ちていた長い髪の毛やピアス(イヤリング)を大切に保管する人がいます。
しかし、裁判所でその証拠を並べても本当に助手席にあったのかを証明することができませんし、不倫相手のものかも判断がつきません。
さらに、助手席に落ちていた証拠として写真を撮る人もいます。
これも本当に最初から助手席に落ちていたのかは証明できないので確たる証拠とはいえません。
調査段階では当事者にバレてはいけないため、素人ではなかなかうまくいかないのが実情。
下手にバレれば慰謝料を取れるどころかうまいこと逃げ切られてしまうのがオチなんです。
実際に裁判で有効な証拠を提出できる人のほとんどは探偵に相談しています。
『探偵』と聞くと得体のしれない存在でなんとなく怪しいイメージを抱くかもしれません。
しかし実際は困っている人を助ける存在。
“被害”を主張しないと動かない警察に対して、”疑惑”で動いてくれるのが探偵なのです。
こと不倫に関しては民事なので警察の出る幕はありません。
そこであなたの味方となってくれるのは弁護士と探偵なのです。
また、証拠をおさえるということは不倫現場をその目で見なければいけないということ。
複数回おさえることがポイントとお伝えしましたが、1回でも目撃するのは辛いですよね。
けれども探偵に依頼すれば少なくとも生で現場を目にしなくてすみます。
さらに、1回の調査で裁判に勝てる証拠をおさえることが可能になるのであなたの精神的苦痛も多少やわらぐはず。
労力やノウハウを考えれば、プロに依頼をした方が得策かもしれません。
無料でまずは相談だけでも構わないというところも多いので話を聞いてもらうだけでも試してみてはいかがでしょうか。
意外と知らない!法律上の不貞行為と慰謝料の秘密
法廷での不倫の扱いについてご説明してきました。
ここからは落とし穴がひそむ不貞行為について、さらに深掘りしていきたいと思います。
不倫の自覚がなくても不貞行為と認められるケース
不貞行為とは、不倫相手との性行為だけを指すものではありません。
特定の誰かと不倫をしているのはもちろん、不特定多数の人との関係ももちろん不貞行為に該当します。
中でも認識が誤っている人が多いのが、『性風俗店の利用も不貞行為となる』ということ。
風俗店は認可を受けて営業をしているところもあります。
そのため、「認められた環境でお金を払っているのだから問題ない」と風俗通いをする既婚者の人もいるのです。
しかし、法律上では、結婚をしている人には貞操義務が発生すると定められています。
お金を払って客としてサービスを受けていようが、配偶者以外と性的な関係を持つこと自体が不貞行為と判断されるのです。
「接待の延長で仕方なく行ったんだよ」「別に本番はしてないから」という言い訳は法的に全く意味がありません。
また、不貞行為を立証できなくても以下の場合は、状況証拠で不貞行為があったと判断される可能性が非常に高いです。
- 異性とふたりきりで同室に宿泊/長期滞在(ビジネスホテルやリゾートホテル、旅館、ラブホテルなど宿泊施設のタイプ問わず)
- 異性の家にふたりきりで宿泊/長期滞在
もし仮に指一本触れることなく健全な時間を過ごしたとしても、この状況で無実を証明するのは厳しいでしょう。
“ないものを証明する”のはあるものを証明する何十倍も難しく、『悪魔の証明』と呼ばれるほど不可能に近いもの。
限りなくクロに近いと判断される状況は、リスクが高いと認識しましょう。
肉体関係があっても不貞行為とされないケース
不貞行為=肉体関係と定められていますが、一概に肉体関係があれば不貞行為だ、とは言いがたいのが実情。
夫婦関係が破たんしていて修復のめどがつかない状態で始まった不倫もそうです。
そして、最たるものは自由意志によらない肉体関係。
いわゆるレイプや脅迫です。
レイプや脅迫されたことによって配偶者以外と肉体関係を持っても、不貞行為にはなりません。
被害者なので、当然ですよね。
しかし、暴行した側は不貞行為ですし、強姦罪にあたります。
探偵もお手上げの慰謝料請求の時効は何年?
「世間を騒がせた強盗事件が時効をむかえました」
「日本中を震撼させた無差別殺人事件が間もなく時効をむかえようとしています」
このようにニュースやドラマなどで『時効』という言葉を聞いたことがあると思います。
実は、不倫の慰謝料においても『時効』というものが存在するのを知っていますか?
時効が成立してしまうと、どんなに訴えられても慰謝料を支払わなくていいのです。
不倫の慰謝料の時効は何年なのか…
- 配偶者の不貞行為および浮気・不倫相手を知ったときから3年間(不貞行為を知ったことによる精神的苦痛)
- 不貞行為により婚姻関係が破綻したときから3年間(婚姻関係の破たんによる精神的苦痛)
- 不貞行為により夫婦が離婚したときから3年間(離婚による精神的苦痛)
- 浮気・不倫関係が始まったときから20年間
参考:アディーレ法律事務所
①〜③に関しては相手の名前がわからないなど、浮気・不倫相手を特定できないならば、時効期間は開始されません。
基本的には①か④のいずれか短い方で時効が成立すると定められています。
また、①と②に関しては時効が成立していても、③が成立していない場合は慰謝料が請求できるケースもあります。
夫婦としてやっていけないと思ったら、一方的に離婚できる?
不倫の事実を知ってから、以前のように夫婦として過ごせなくなる人も多くいます。
- 信じていたパートナーに裏切られた悲しみ
- 隠れて別の異性と一線を超えた苛立ち
- 不倫をさせてしまった自己嫌悪
不倫をされた側には様々な思いが湧き出します。
「もう、今までみたいには愛せない。顔も見たくないわ!」と夫婦関係の継続ができない状況になることもしばしば。
それでも不倫をした夫は離婚したくない、と主張して泥沼化していきます。
離婚するためには民法の離婚事由に該当すること
離婚協議や離婚調停では夫婦の合意なくして離婚は認められません。
しかし、離婚裁判まで発展すると強制的に離婚を成立させることができるのです。
なぜなら、民法第770条では下のような離婚事由というものが定められているから。
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
これに該当すれば離婚請求が認められやすくなるのです。
不倫・不貞行為を証明できた場合は離婚事由の一に該当します。
また、不貞行為と認められなかったとしても離婚事由の五に該当すれば離婚ができるのです。
婚姻を継続し難い重大な事由とは
頻繁に不倫相手とデートを重ね、ほとんど家にいない夫。
それでも肉体関係のないプラトニック不倫だから不貞行為とは認められません。
そんな場合は泣き寝入りするしか方法はないんのでしょうか?
「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、婚姻共同生活(夫婦関係)が破綻し,その修復が著しく困難な事由をいいます。
これは,夫婦が婚姻を継続する意思を失っており(主観面),夫婦関係を修復することが不可能である状態(客観面)を指します。
このように、結婚生活を続けていくことが難しいと”夫婦のどちらかが思い”、”客観的にもそう判断できる”のであれば、両者の合意なくして離婚ができるのです。
つまり、プラトニック不倫であっても、離婚請求が認められやすいということ。
不倫の境界線はどこからなのか
不倫の境界線について男女の印象と法律の両面から紐解きました。
- 男性は肉体面、女性は精神面での浮気を許さない
- 法律では不貞行為(肉体関係)を不倫とし、慰謝料を請求できる
- 肉体関係がなくても結婚生活の継続が難しいと判断できれば離婚できる
不倫を疑い、真実と向き合うのは辛くて苦しいですよね。
だからこそ未然に防げるように夫婦の会話を増やすことが大切。
それでも不倫をされてしまったら、少しでも辛い期間を短くするために探偵や弁護士といったプロのチカラを頼ることも忘れないでくださいね。